英語の音読の効果とは?4技能への効果と「いつから実感できるか」をTOEIC985のコーチが解説

英語の勉強方法などを調べると必ずと言っていいほど出てくるのが「音読」。

英語の学習方法を紹介しているサイトや学校の先生が「音読が基本だ!」「音読だけで英語ができるようになった!」とオススメしているのを見たことがある方も多いでしょう。

実際に音読は間違いなく優れた学習方法です。 しかし、なぜ音読が効果的と言えるかは個人の体験談ばかりで、根拠まで説明しているものを見つけるのは一苦労です。一方で「音読は意味ない」「やっても伸びない」という声もあり、結局どちらなのか迷ってしまいますよね。

私は「なぜ?」が解決しないと前に進めない性格で、この音読学習法についても自分なりにいろいろと調べました。そのうえで、社会人になってから3ヶ月間、毎日1時間半の音読を実際にやってみました。

この記事では、調べて分かった「仕組み」と、やってみて分かった「実感」の両方から、音読の効果を解説していきます。

※この記事は、自分にピッタリの英語コーチが選べるプラットフォーム Coach Fit が監修・お届けしています。


目次

結論:音読で得られる効果の早見表

先に結論をまとめます。音読は4技能すべてに効果がありますが、実感できるまでの早さは技能によって違います。

技能音読で得られる効果私が実感した時期
発音(スピーキング)正しい音で英文をスラスラ読めるようになる1ヶ月目
リスニング知っている単語を「音」でも聞き取れるようになる1ヶ月目〜3ヶ月
リーディング返り読みが減り、読むスピードが上がる3ヶ月後
スピーキング(表現)繰り返した英文が口をついて出る1ヶ月目の英文が、後から出てくる
ライティング使える語彙・表現が増える(研究で確認されている効果)

「実感した時期」は、1日1時間半・同じ英文を60〜100回というペースでの私の体験です。期間の目安については後半で詳しく書きます。


なぜ音読は効果的か?

多くの英語学習者がおすすめする音読。 音読がなぜ効果的かを知るためには、まず音読時の脳の動きを知らなくてはいけません。 下の図を見てください。

音読時に脳内で行われる4つのプロセス
STEP
文字認識

まず、音読するテキストの文字を脳内に音声を持った記号としてインプットします。 例)「I ate an apple.」と書いてあるな この作業を繰り返すことで、次第に文字➔音声の変換が自動化されていきます。

STEP
意味処理

次に、インプットした文字列を処理し、内容を理解します。 例)「I ate an apple.」=「私はりんごを食べた。」という意味だな この例ではそれぞれの単語の意味を理解し、文法知識を動員して意味を導いています。 同じ文章の文法や単語の意味を繰り返し処理することで、次第に意味を理解するのが速くなっていきます。

STEP
発音

そして、内容を理解した上で発音をします。 スピーキングのプロセスをたどることでスピーキング力の向上に繋がります。

STEP
フィードバック

最後に自分で発音した音声は自分の耳にも聞こえてきます。 自分の発音を自分で聞き、評価することで自分が正しく発音できているかを確認し、修正する力が身につきます。

私達が音読をしている時、脳はこの4つのプロセスを同時に行っています。 筋トレで言えば腕、胸、脚、背中の部位をいっぺんにトレーニングしているような感覚です。

そう考えると音読がいかに効果的な学習方法であるかということがおわかりいただけるかと思います。

ここで1つ大事なのは、4つのプロセスのどれかが抜けると、効果もその分だけ抜けるということです。意味を考えずに声だけ出せばSTEP2が抜け、お手本の音声を聞かずに自己流で読めばSTEP4の「正しさの確認」ができません。「音読は意味ない」と言われるケースの多くは、ここに原因があります(後述します)。


音読で得られる効果

音読がなぜ効果的と言えるのかを音読時の脳の動きから説明してきました。

ここからは、音読で実際に得られる効果にどういったものがあるかについてお話していきます。 具体的には次の4つです。

  1. リーディング能力が向上する
  2. リスニング能力が向上する
  3. スピーキング能力が向上する
  4. ライティング能力が向上する

1つずつ、研究で分かっていることと、私自身の体験をあわせて見ていきましょう。

リーディング能力が向上する

ある実験で学習者を音読を大量に行うグループと少ししか行わないグループの2つに分けたところ、5ヶ月間でリーディングのスピードに大きな差が出たそうです。 音読を大量に行った集団はもう一つの集団に比べて約24%の上昇幅がありました。

これはたった5ヶ月間で生まれた差ですが、年単位で考えると音読をするかしないかで読解のスピードが大きく変わることが分かります。

これは音読の中で文字認識と意味処理が繰り返し行われることで、「英語を英語のまま理解する」という感覚に近い形で以前よりも英文を読むスピードが上がった結果だと言えます。

【私の体験】
私は大学受験で難しい英文を読み解く力はついていましたが、TOEICのリーディングは時間内に解き終わりませんでした。精読はできても、スピードがなかったのです。
ところが3ヶ月の音読のあとに模試を解いてみると、以前は10分足りなかったリーディングが、10分余って終わるようになっていました。しかも取り組んだのはTOEIC対策の教材ではなく、中学・高校レベルの英文の音読です。
理由を考えてみると、「返り読み」をしなくなったことに行き着きました。同じ英文を何度も声に出すうちに、文法や語彙の知識を瞬時に引き出せるようになり、一読で意味が取れるようになっていたのです。

リスニング能力が向上する

同様の実験で今度は授業内で音読をする回数を増やしたグループとそのままのグループとに分けて比較したところ、5ヶ月後のリスニングテストの結果に差が生まれました。 音読の回数が多かったグループは少なかったグループに比べて12%以上正答数の伸びが大きくなりました。

授業内の音読の回数を変えただけで明らかに差が生まれたというのだから驚きです。

【私の体験】
音読を始めた時点で私のTOEICスコアは860でした。それでも、中学レベルの英文の音声を聞くと、聞き取れない単語や表現がたくさんあったのです。読めば「こんなの知ってるよ」という単語が、音になると聞き取れない。リーディングとリスニングの力が大きく離れていました。
音読を続けるうちに、それまで文脈から推測していた箇所がきちんと聞き取れるようになり、TOEICのリスニング模試は440点前後から495点満点が出るようになりました。
リスニングへの効果を出すうえで欠かせないのは、必ずお手本の音声を聞いてから、それをそっくり真似て読むことです。自分で発音できる音は、聞き取れるようになります。

スピーキング力が向上する

スピーキング能力においても、音読を繰り返したグループはそうでないグループに比べて有意な結果が出ました。 音読を繰り返したグループは教科書表現を**約30%**多く覚えていたのです。

このことから音読を繰り返すことで使うことができる表現が増え、スピーキング能力が向上することが分かります。

また、音声をしっかり聞いた上で音読を繰り返すことで自然と正しい発音が身につきます。 これも音読によって身につけられるスピーキング能力の1つです。

【私の体験】
4技能の中で最初に変化を感じたのは発音でした。1ヶ月続けたころ、家族から「外国人みたいな発音だね」と言われたり、英会話で /r/ と /l/ の違いを指摘されなくなったりしました。
もう1つは、あとで英会話に取り組んだときのことです。1ヶ月目に音読した英文が、そのまま口をついて出てくることがありました。1つの文章を100回近く読んでいたので、気づかないうちに覚えていたのです。
ただし、音読だけで自由に会話ができるようになるわけではありません。音読は「使える表現のストックを増やす」「口を英語に慣らす」練習で、実際に自分の言葉で話す練習は別に必要です。

ライティング能力が向上する

最後に音読がライティングにも好影響を与えるということもわかっています。

音読の回数に差をつけた2つのグループで、音読の回数が多いグループはより多くの語を書き、より高い評価を獲得していたということです。

これはスピーキングと同様に音読を繰り返したことによって、使える語彙や表現が増えた結果ライティング能力の向上につながったと言えます。


音読の効果はいつから出る?期間と回数の目安

「どのくらい続ければ効果が出るのか」は、音読を始める人がいちばん気になるところだと思います。

私の体験では、次のような順番で変化が出ました。

音読の効果を実感した順番
音読の効果を実感した順番
  • 開始〜1週間:とにかく疲れる。口の奥に血豆ができるほどでした
  • 1ヶ月目:発音が変わる。中学レベルの英文が一発で聞き取れるようになる
  • 2〜3ヶ月目:高校レベルの英文に進む。初めて聞く英文でも聞き取れることが増える
  • 3ヶ月後:TOEICリスニング模試で満点、リーディングは時間が余るようになる

大切なのは「日数」より「回数」

ここで注意してほしいのは、効果は暦の上の日数ではなく、同じ英文を何回読んだかで決まるという点です。

私の場合は1日1時間半、1日30回のペースでした。1つの英文を60〜100回読むと、明らかな変化を感じます。簡単すぎる教材なら60回程度、ちょうどよいレベルの教材なら100回が目安です(回数の考え方は音読は何回やったらいいかについてで詳しく書いています)。

同じ回数をこなすのに必要な期間は、1日に取れる時間で変わります。

1日の音読時間1冊(100回)を終える目安
1時間半約1ヶ月半
45分約3ヶ月
30分約4ヶ月半

「1ヶ月やったのに効果がない」という場合、やり方より前に、回数がまだ足りていないだけということがよくあります。

期間ごとの詳しい記録は、それぞれ別の記事にまとめています。


「音読は意味ない・効果ない」と言われる理由

音読には否定的な意見もあります。代表的なのは次の3つです。

  • 声を出すことに意識が向いて、内容が頭に入らない
  • 黙読より読むスピードが遅いので、インプットの量が減る
  • 自己流で続けると、間違った発音がそのまま定着する

どれも的外れな指摘ではありません。ただ、よく見ると音読そのものの欠点というより、「効果が出ないやり方」の特徴を言い当てています。

効果が出る音読と、出ない音読の違い
効果が出る音読と、出ない音読の違い
効果が出ない音読効果が出る音読
英文の理解意味が分からないまま読む単語・文法を理解してから読む
音声自己流の発音で読むお手本を聞いて、そっくり真似る
読み方文字を音にするだけ(空読み)意味をイメージしながら読む
回数数回で次の英文に移る同じ英文を60〜100回読む
教材難しすぎる/簡単すぎる初めて聞いて7割ほどわかるレベル

「インプットの量が減る」という指摘については、音読と多読は役割が違うと考えると整理できます。多読は新しい英文に大量に触れるためのもの、音読はすでに理解した英文を「瞬時に使える状態」まで仕上げるためのものです。どちらかを選ぶのではなく、目的で使い分けます。

「すでに音読をやっているのに伸びない」という方は、原因の切り分けを別の記事で詳しく書いています。


音読の効果を高める3つのポイント

細かいコツはたくさんありますが、効果を左右するのは次の3つです。

① 先に発音と文法を押さえる

音読は「正しい音」と「理解できる英文」を繰り返すことで効果が出るトレーニングです。間違った音のまま何百回読んでも、間違った音が定着してしまいます。発音記号をひと通り確認し、中学レベルの英文で音読するなら中学レベルの文法を先に固めておきましょう。

② 音声付きの教材を、レベルを合わせて選ぶ

私はTOEIC860の時点で中学1年レベルの教材から始めましたが、簡単すぎて負荷が足りず、1つ上のレベルに切り替えました。初めて聞いたときに100%は理解できない、くらいがちょうどよいと感じています。

③ 読み方にバリエーションを持たせる

同じ英文を100回読むと、必ず飽きます。リピーティング、シャドーイング、テキストを見ない音読などを組み合わせると、飽きにくくなるうえ、技能ごとに違う刺激が入ります。

それぞれ詳しくは以下の記事で解説しています。


独学の音読で気をつけたいこと

音読は一人でできる学習法ですが、独学には1つだけ弱点があります。自分では「正しく読めている」と思っている箇所ほど、間違いに気づけないことです。

脳は自分の発音を「自分の中の正解」に寄せて聞いてしまうので、録音を聞き返しても自力ではなかなか気づけません。私自身、独学で続ける中でこれを痛感しました。

独学でもリーディング・リスニングは十分に伸びます。ただ、発音の精度を上げたい方や、続けているのに手応えがない方は、一度プロにチェックしてもらうと遠回りを減らせます。

Coach Fitは、自分に合った英語コーチを選べるプラットフォームです。月額33,000円(税込)〜で、音読の添削や学習計画の相談ができるコーチを探せます(料金は時期により変わる可能性があるため、最新の情報は公式サイトでご確認ください)。


音読の効果についてよくある質問

Q. 1日何分やれば効果がありますか?

時間よりも「同じ英文を何回読んだか」で考えるのがおすすめです。1日30分でも、同じ英文を合計60〜100回読めば効果は出ます。そのぶん期間が長くかかる、というだけです。

Q. 黙読ではだめですか?

黙読でも読む力はつきます。ただ、黙読では「発音」と「自分の声を聞いて確認する」というプロセスが抜けるため、リスニングやスピーキングへの効果は期待しにくくなります。

Q. 音読とシャドーイングはどちらが効果的ですか?

役割が違います。音読は文字を見ながら自分のペースで読むので、意味の理解と定着に向いています。シャドーイングは文字を見ずに音声を追いかけるので負荷が高く、音を聞き取る力に集中して効きます。まず音読で英文を理解して読めるようにしてから、シャドーイングに進む順番がおすすめです。

Q. 簡単な英文を読んでも意味がありますか?

あります。私はTOEIC860の時点で中学〜高校レベルの英文だけを音読し、リスニング模試が満点になりました。ただし、聞いた時点で100%理解でき、すぐに暗唱できてしまうレベルは簡単すぎます。


まとめ:音読は4技能を効率的に鍛える効果がある

この記事では、音読がなぜ効果的と言えるのかと、音読のもたらす効果について解説しました。

音読の効果まとめ

  • 脳内で4つのプロセス(文字認識・意味処理・発音・フィードバック)を同時に行っている
  • 4技能すべてで効果があることが確認されている
  • 効果は発音→リスニング→リーディングの順に実感しやすい
  • 効果を決めるのは日数ではなく、同じ英文を読んだ回数(目安は60〜100回)
  • 意味を理解せずに読む・自己流の発音で読むと、効果は出にくい

前述の通り、音読はリーディング、リスニング、ライティング、スピーキングという4つの技能を高める効果があります。

さらに、脳をフル活用することでこれらを同時にトレーニングすることができる非常に効率的な学習法と言えます。 もちろんそれぞれに特化した学習も必要になってきますが、特に初学者は音読を学習の中心に据えることで劇的な効果が期待できます。

ぜひ日々の学習に音読学習を取り入れてみてください!

なんとなく続けてるけど、手応えがない。

「英語力の成長が止まってる気がする…」

それ、”やり方”のせいかもしれません。

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この記事を書いた人

現役の英語コーチ・講師が英語学習に関するお役立ち情報を発信中!
TOEIC985・英検1級保有

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